作業ヒント:品質保証評価基準で宝石の減損を回避しよう

GIAの宝飾品製造アート講師

作業ヒント:品質保証評価基準で宝石の損失を回避しよう

高級ジュエリーは、ダイヤモンドや宝石、貴金属の取引額よりもはるかに多くの意味を持ちます。 所有者のライフスタイル、地位、感情、認識、信念などといった個性を表現していると言えます。

こうした思いの深さから、宝石を失うことは所有者の悲しみを一層強くします。 アクセントとなっている石が一つでも欠けると、そのジュエリーは着用できなくなります。 重要な宝石の損失はまた、そのジュエリーを販売したお店や、それをデザインし製造したメーカーにも影響を与えます。

ジュエリーにおける宝石の緩みや破損、紛失は、未熟な技量およびセッティングの評価基準の欠如という2つの要因によるものです。 評価基準とは、市場向けに完成品の良否を比較し評価するために使用される、特定の指標です。

石の損失は回避することができます。 各商品を検査し、通常の使用に対する傷つきやすさの兆候を確立された評価基準に照らして比較することで、宝石商/製造業者は宝石が販売される前に潜在的な問題を解決する機会を得られます。 特定の問題を対象とした一貫性のある評価基準を採用することで、適正なデザインと優れた技量が奨励され、消費者にジュエリーの品質を保証することができます。

品質保証の評価基準の例としてここで紹介するのは、ラウンドブリリアントカットの宝石を従来型の角度の付いた爪にセットするための基準です。

角度を付けたプロング用ベンチマーク基準
この図は、センターストーンを留める角度の付いた爪に対する評価基準の指標を示しています。

爪留めの評価基準 – 従来型の角度の付いた爪

A: 爪の角度は70~80度です。

B: 所定の位置に石を固定する為に、十分な爪の厚さが必要です。これは、爪の支持点(切込み、アゴという)の部分の厚さが40~50%減ることになるためです。

C: ダイヤモンドを、水平になるようにして台座のすぐ上のアゴに乗せます。 全てのアゴに隙間が無いようにします。アゴは爪を削って作ったもので、石を適正にセットした際にぴったりとフィットしなければなりません。 隙間があると、石が動いたり緩んでしまったりします。

D: 完成した爪の高さは、テーブルの高さの75~85%です。 十分な高さがあると、爪は通常の使用において石をしっかり支えることができます。

E: 爪が接触する部分は、クラウンの全長の33~50%です。 安定したセッティングには、爪が適切にクラウンに接している事が非常に重要です。

F: 爪は丸みを付けて研磨され、大きさや形状が等しくなるようにします。

従来型の角度のついた爪の製作で起こりうるミス

例1:品質保証評価基準を適用すると、アゴがカットされておらず(下側の青矢印)、ダイヤモンドが収まっていないことがわかります。 爪の接触が不十分であり(上の青矢印)、ダイヤモンドがほとんど固定されていません。

センターストーン
このセンターストーンのセッティングにはアゴがありません。

例2:アゴがダイヤモンドのクラウンとパビリオンの角度に合っていないので、大きな隙間ができています。 爪の厚みから、金属が多く削られ過ぎてしまっています。

プロングオーバーカット
この爪は削り過ぎで、アゴの部分に隙間が見えます。

注目すべき点を理解し、一貫した品質保証を実施することにより、宝石業界は、世界中の消費者に可能な限り最良のジュエリーを手にしてもらうことができるのです。

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